長期入院療養について

自宅療養をいつまでも続けるわけにはいきませんでした。次第に身体が動かなくなり、意志の疎通もできにくくなります。当然呼吸の管理と栄養の管理も本人の意思がはっきり伝わらないのですから難しくなってきます。オムツ替えなどの作業も身体が動かなければ大変な重労働になってきてしまうのです。

 

ただ、感染症に関してはむしろ自宅にいる方がリスクは低いかも知れません。病院と違って変なウイルスは存在しないし、人の出入りも少ないからです。しかし、親父の場合年齢のこともあり次第に体力も落ちてきました。自宅では突発的な状況に対処するのは難しい。まして見ているのがお袋ひとりでは、負担が大きくやはり自宅療養は諦めねばならなかったのです。ALSの進行が止まってくれれば・・・、が、残念ながら父のALSはショートステイごとの医師の診断でも確実に進行していました。

 

私は親父の自宅療養を始めたときから、いつ止めるか、そればかり思い悩んでいました。お袋共々家族共倒れになることは絶対に避けなければならなかったからです。

 

自宅療養を始めたのが平成14年の1月です。その年の暮れから私は長期入院先を探し出します。結局入院したのはよく15年の7月になってからでしたが、その間30ちかい病院に入院の打診をしたのでした。


上記は当時当たっていった病院です。自宅から同心円を描くように、しだいに遠隔地へ伸びていきました。


メールでの問い合わせに答えてくれるところにはメールで、あとはまず電話です。急性期の病院では長期はだめです。当初そのことを知らずに無駄な問い合わせもずいぶんしています。

 

しかし、実際には特別扱いをしている患者が居ることも事実で、もっとも近隣のTS中央総合病院など1年以上入院している患者を知っていましたが、ソーシャルワーカーの臼井氏は実に冷たい態度で私を失望させました。もともと親父はこの病院に脳梗塞との診断で通っていたのです。

 

話をしたソーシャルワーカーあるいは相談室職員は必ずしも病院の意見を代表していません。TK病院のようにドタキャンしてくるところもあります。やはり本人に代わって医師の面談を受けてみるべきかも知れません。

 

やはり医師の紹介状を準備して相談に来るようにいうところが多いようです。表組中で回答欄×は入院できません。検討可は医師に伝える、というもの。不明は返事さえ来なかったもの、未は問い合わせしなかったところです。

 

ところで、問題なのはこれら病院のピックアップです。少しでも可能性があって、神経難病に理解を持っていて、人工呼吸器の患者を診た経験のある病院、そんなところを探さねばなりません。ネットのサービスコンテンツで病院の検索ができるものがあります。私の場合、保健所に相談して病院名をリストアップしてもらいもしました。

 

しかし、最後の長期入院を受諾してくれたのは自宅から車で1時間の場所にあるNT病院でした。高速道路を使っての道程で1時間ですから、自宅からの距離は相当ですし、電車の乗り継ぎでは1時間半近く掛かります。それでも長期入院先をみつけられたことはラッキーだったと言わざるを得ないのが、今の日本の医療の現実です。