公的援助

自宅療養をしようとした時、公的援助は不可欠だと思います。

全て自分でなどと考えないことです。親父も13歳の時から働きだし、

62歳まで仕事をしてきました。半世紀以上に渡って税金をちゃんと納めてきたのです。身体が動かなくなってしまったんだから「援助して貰って当然」くらいに考えることにしました。

 

 特定疾患に対する医療費の援助は保健所へ

 人工呼吸器を装着している患者など特定疾患の更に重症認定を受けられ

  る場合があります

 特定疾患で自宅で介護する場合、介護手当がでます。これも保健所へ

 身体障害者手帳は地域の障害福祉課などが窓口となります

 地域によっては特定疾患患者に対して見舞金が支給されます

 介護保険の認定はヘルスセンターなど地方公共団体で

 吸引器とアンビューバッグに対する援助がある場合があります

 ネブライザーも援助の対象になる場合があります

 身体障害者手帳を持つことによる様々なサービスにも注意しましょう

 

お役所仕事ですから、これら申請の窓口がバラバラです。国への申請は保健所が窓口になります。他に都道府県への申請や市区町村の障害福祉課・社会福祉課・介護保険課などそれぞれの窓口へ足を運ばなければなりません。少なくとも1度は足を運ばなければならないでしょう。が、お願いをすればその後の継続申請など郵送受付も可能になる場合があります。だから公機関との連携は大事なのです。

 

こうした援助は全て申請によります。黙っていては貰えないのです。手続きを面倒がらずに、まずは保健所やヘルスセンターなどに相談に行ってみしょう。ただ書類の記入はわかりずらく、年寄りでは出来ないかも知れません。私の場合ももしお袋がひとりで対応していたら、どこまで援助を受けられたか疑問です。高齢者に優しくない高齢者福祉が日本の現実だと思います。


私の場合、いったいどれくらいの援助を受けられたか・・・。

 

少なくともALSに関わる医療費は全て無料となります。国が全額援助してくれます。従ってショートステイ時の入院費用や家庭医の診療費も無料となります。 一見すごく優遇されていそうに見えますが、


実際は入院の往復にかかる寝台車の費用がバカになりません。
家庭医の往診も往診費用だけは有料ですし、
介護保険の訪問看護も毎回400円の訪問料金は現金で徴収されます。
更に入院時の差額ベッドや他の疾患治療に掛かる医療費は援助の対象になりません。(但しその線引きは医師の裁量であり、肺炎をALSと結びつけるかどうかは医師と病院の判断になります。)
また、申請に必要な医師の診断書や証明書には文書料がかかります。

 

<年間で掛かる費用は・・・>

寝台車費用 27,000円(片道)×3回往復 = 162,000円(福祉タクシーチケット利用済み)

家庭医往診費用 1,000円 × 2回 × 9ヶ月 = 18,000円

訪問リハビリ交通費 350円 × 2回 × 4週 × 9ヶ月 = 25,200円

訪問看護交通費 400円 × 3回 × 4週 × 9ヶ月 =43,200円

差額ベッド 6,800円 × 30日 × 3回 = 612,000円 

(実際にはKK病院でのショートステイは差額ベッド代を要しませんでした。
が、NT病院では支払っています。家族が休む間やはり患者にも快適に過ごして欲しい
となると個室が必要になります。カード式テレビの代金なども当然掛かるわけです。)

<これに対して・・・>

特定疾患特別介護手当 12,650円 × 9ヶ月 = 113,850円

難病患者見舞金 6,000円(往診)× 9ヶ月 

        + 12,000円(入院)× 3ヶ月 = 90,000円

 

果たして、優遇されているといえるかどうか・・・、
もっとも特定疾患以外の病気で寝たきり自宅療養を強いられる場合を考えるとかなり有利なのかも知れません。

 

食費、これは違う意味でも大変です。総額いくらかかったか、今となっては集計不能です。嚥下能力の落ちた親父に普通食は無理です。ご飯はお粥を、おかずも柔らかく、更に小さめに刻んだ物でないと食べられません。これを毎日毎食自炊していてはお袋が参ってしまいます。
そこで、各社から出ているレトルトの介護食と宅配の介護給食を利用することにしたのです。お粥もレトルトが出回っていますので、これはまとめ買い。おかずはなかなかスーパーには出回ってないのでネット通販です。
肉じゃが、五目あんかけソバ、柔らか煮 大根の鳥そぼろあんかけ、里芋の煮物、エビと貝柱のクリーム煮、うどん けんちん風、貝柱とかき玉の中華風煮込み、太刀魚の煮付け、中華丼、麻婆豆腐 等々様々な種類があります。いずれも300円前後です。お袋はこれに何か1品手作り料理を添えていました。1食500円から800円くらいでしょうか。それでも食べられたときは良かった・・・、自宅療養の後半分はリキッド(胃ろうからの流動食)になってしまったのです。

 

公的援助は金銭だけではありません。むしろ金銭以外のこと、様々な相談事や情報収集にも必要です。例えば、いよいよ親父の長期入院先を探すに当たっては保健所から色々と情報を貰いましたし、自宅介護を始めるに当たって仕切ってくださったのも役所の方です。これら公的援助の手続きをしながらいよいよ平成14年1月10日KK病院会議室にて第1回のケア会議がありました。ケア会議の内容について、当時の議事録(私が記録しています)で紹介します。