自宅療養のためのネットワーク

とにかく自宅で介護しようとしたとき、病院・訪問看護・地域医療関係者等公機関関係者と連携を取ることが何より重要です。この連携のまず第一歩がケア会議でした。関係者が集まって手順と役割を決める、これに家族も積極的に関わっていかないとよりよいネットワークはくめません。特に親父のような難病患者ともなれば、人工呼吸器などの医療機器やヘルパー、
あるいはボランティアとの連携も必要になる場合があるでしょう。

 

第1回ケア会議および第2回ケア会議の議事録は以下の通りです。

平成14年1月14日

<第一回在宅療養支援計画策定会議 議事録>

   開催日 :平成14年1月10日 午後4時~5時半
   開催場所:KK病院 17病棟カンファレンスルーム
   出席者 :KK病院 芳山医長・門田担当看護婦
        ケアマネージャー 遠井所長
        地域ヘルスステーション 玉野氏
        保健所 田崎課長・前田氏
        FC株式会社 石田主任
        患者家族 (記)
   提供資料:看護サマリー(KK病院)
議事:
関係各氏の自己紹介を経て、まず主治医の芳山医長より病状について説明があった(詳細は省略)。
続いて、病棟担当看護婦の門田氏より看護サマリーの内容について説明があった。
以下会議次第に従い、決定事項のみ記す。
1.訪問看護指示書については芳山医長に記入いただくこと。
  → 即時発行し、YS訪問看護ステーション遠井所長に提出される。

  また、18日第二回会議以降ホームドクターの針尾院長へ引き継がれ

  るものとする。
2.薬剤については現使用薬についてKK病院にて10日分を限度に提供

  されること。以降、ホームドクターに引き継がれる。
3.消耗品関係については初期必要分をKK病院にて手配、患者宅へ持ち

  帰るものとする。なお、綿棒・YガーゼなどについてはKK病院近隣

  の薬局にて患者家族が直接購入することとする。
4.患者容態に関して緊急の連絡。発熱など一般症状については針尾クリ

  ニックへ、また呼吸器官系の異常の場合はKK病院へ連絡するものと

  する。また、カニューレ交換を実地で見学。外れるなどの突発事は救

  急車にてKK病院へ搬送。日中は針尾クリニックでも可。
5.人工呼吸器についてFC(株)の石田主任より説明があった。
  3ヶ月ごとの定期点検を行い、業者が直接患者宅へ訪問して実施す

  る。また、今回より使い捨てタイプの呼吸回路に変更するものとし、
  これの供給は2~3週間に一度業者より直接連絡をもらうものとす

  る。針尾クリニックの役割について未定(議題に上らず。)。
6.吸引器については、メーカー違いであるが石田主任にて対応。
  セッティングと操作説明を週末中に患者家族に行うことで了解を得

  る。トラブル発生など今後の対応については未定(議題に上らず。)。
7.アンビューバックがFC(株)より納品される。
8.使用するカニューレは2週間に一度の交換が必要であることが芳山医

  長より説明され、各氏これを了承。家庭医に対して最低限2週間に一

  度の往診を依頼するものとする。
9.芳山医長より訪問看護について、チェックすべき点が示された。脳梗

  塞の再発防止や高血圧に注意することと同時に、ALS進行について

  注意すべき点として、手足の筋力、呼吸、嚥下の状態などの観察が必

  要であるとのこと。同時に家族にも注意が促された。進行する場合は

  KK病院へ連絡し、入院あるいは在宅にて指定薬剤の投与を行う。
10.退院日は1月15日(火)午後2時半とし、芳山医長が同行する(た

   だし、外来の状況により多少前後する可能性有り)。また、FC

     (株)石田主任が呼吸器を持って同行。
   患者宅にてセッティングと操作説明を行うこととする。同時刻に遠井

       所長が来宅の予定。
11.ショートステイ先についてはKK病院とする。期間は2~3週間と

  し、外来窓口にて入院依頼をすること。患者状況などを考慮して入院

  可能日を決定する。
12.リハビリについて、実施した方がいい旨芳山医長より指導があった。
   下肢とともに腕肩などのリハビリが効果的とのこと。リハビリの資料を貰う。保健所にて公的サービスの訪問リハビリがあり、申込みを行うものとした。
   また、患者家族にて近隣の訪問リハビリ可能な病院等を探すこととした。
13.ケアマネージャーよりヘルパーについて患者家族に問いかけ有り。
   ヘルパーを依頼する方向で検討することとなった。
14.患者家族より退院・在宅療養にて不明点などKK病院へ問い合わせをしたい旨申し出があり了承された。
15.特定疾患治療研究事業への変更届け(YS訪看・針尾クリニック追

         加)を記入、即時保健所前田氏に提出された。

 

以上にて、第一回会議を終了。第二回は18日午後4時より患者宅にて開催予定。

(配布先:KK病院芳山医長・YS訪問看護ステーション遠井所長・地域ヘルスステーション玉野氏・保健所前田氏・FC社石田氏)

平成14年1月20日
<第二回在宅療養支援計画策定会議 議事録>

   開催日 :平成14年1月18日 午後4時半~6時
   開催場所:自宅
   出席者 :KK病院 芳山医長・門田担当看護婦
        針尾クリニック 針尾院長
        ケアマネージャー 遠井所長
        保健所 前田氏
        FC株式会社 石田主任
        患者家族                   
議事:
関係各氏と針尾院長との顔合わせの後、芳山医長と患者病状について引継をする。現在使用している薬剤についても芳山医長より引継。会議に入る。前回会議での未決事項からはじめて、保健所前田氏作成の会議次第に則り進行した。以下、決定事項を記す。

● 前回会議で議題に上らなかった針尾クリニックの役割について患者家

  族より質問があった。
1.現在使用中の薬剤・カニューレは針尾クリニックからに変更になる。
2.精製水・ヒビテン液など消耗品についても針尾クリニックから処方さ

  れることとする。保険範囲で可能な数量を処方し、不足分は別途協議

  する。
3.吸引チューブについては保険外。患者家族にて購入。交換は汚れの具

  合を見てする。
4.人工呼吸器の管理も針尾クリニックへ移管される。手続きについては

  メーカーと針尾クリニックの間で行われる。但し、交換用回路の納入

  と設置についてはメーカーよりの出張にて対応される。3週間で交

  換。使用頻度により2週間で交換。機械トラブルなどFC(株)にて

  対応。人工呼吸器の加湿器については精製水を使用すること。

● 続いて患者家族より吸引器の緊急対応について質問があった。
5.吸引器については、メーカーにて対応とする。メーカー問い合わせ担

  当者をKK病院より紹介いただくこととする。なお、石田氏より基本

  的な操作等のサポートはするとの言葉をいただいた。
6.また、YS訪看にて予備があるとのこと。緊急時はそれを利用。
● 往診のスケジュールについて
7.使用するカニューレは2週間に一度の交換が必要であることから、針

  尾院長の初回往診は、1月22日(火)1時半と決まった。YS訪看

  遠井所長も立ち会うこととする。
8.針尾クリニックに患者保険証を明日FAXにて送信、ご対応いただく

  こととする。
9.以降の往診スケジュールについては都度協議する。
10.針尾院長の判断で入院が必要と思われるときはKK病院にて対応す

  る。
11. 2ヶ月後のショートステイをKK病院へ依頼。芳山医長によりご手配

  いただくこととする。
● 患者家族より介護者(お袋が自分の病気治療)の通院時の対応につい

  て援助の要請があった
12.当面の通院日である1月23日11時半については、遠井所長にて訪

   問日時変更でご対応いただくこととなった。今後も事前に時間が分か

       っていればご対応いただけるとのこと。
13.患者家族からは介護可能なヘルパーの必要性が指摘されたが、法的な

       制約もあり、ヘルパーの派遣について今回も結論は出なかった。
14.リハビリについても具体的な対応策は検討されなかった。公的訪問リ

       ハビリサービスについては別途相談とする。

 

以上にて、第二回会議を終了。
(配布先:KK病院芳山医長・針尾クリニック針尾院長・YS訪問看護ステーション遠井所長・地域ヘルスステーション玉野氏・保健所前田氏・FC社石田氏)


私が考えるよりよい自宅療養のためのネットワークというのは以下のようなカタチです。

 

○ 中心はあくまで家族であり、患者本人であること

○ とはいうもののケアマネージャーの役割は大きく、より信頼のおけて

  更に医師とも対等に話の出来るレベルの人であること。患者は言うま

  でもなく介護する人の身になってくれる人を選びましょう。ケアマネ

  がネットワークの中心です。

○ 公的機関の担当者と良好な関係を保つこと。

○ 親父のような難病の場合は特に主治医のアドバイスは欠かせません。

  退院してそれで終わりにならないこと。

○ 通信の手段は色々持っておき常に連絡を取ることが大事です。(携帯電

  話・FAX・電子メールなど)

 

<在宅療養支援者 緊急連絡先>

会議外で民間の介護支援会社(うちの場合はコムスン)に依頼してヘルパーに来て貰うことになります。また遠井所長のご紹介でI病院から訪問リハビリにも来ていただくことになりました。最終的には以下のような「支援者緊急連絡先」を電話の脇に置いておくことになりました。なにしろ月曜から金曜日まで朝7時から夜9時、10時までは家にはお袋と親父しかいません。連絡や要請はお袋がやらなければならないのです。どうしても訪問介護の遠井さんを頼ることになりました。